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「いびき」のトリセツ

「いびき」のトリセツ
公開:2025年4月24日(木)午後7:23
更新:2025年4月24日(木)午後7:23
NHK

「いびき」のトリセツ(取扱説明書)」ダウンロードはこちら?(睡眠時無呼吸症のリスクセルフチェックはp.3以降に掲載!)

https://www.nhk.or.jp/program/torisetsu-show/2025_ibiki_tstm.pdf

※このページの中でも、<睡眠時無呼吸症のリスクセルフチェック>について詳しく紹介しています?

トリセツ01 そのいびき、危険かも?見過ごされる 閉塞性睡眠時無呼吸症

★そもそも「いびき」はなぜ起こる?

本人はもちろん、家族やパートナーなど、その「大きな音」で悩ませるいびき。

そもそも、いびきが生じる主な原因は「舌」や「口蓋垂(のどちんこ)」が、重力や筋肉の緩みで落ち、気道を狭くすることです。気道が狭くなると、空気の通り道が狭くなり、呼吸をすると「舌」や「口蓋垂」など柔らかい組織が振動。その振動が喉や口の中で響くことで大きないびきの音が生まれます。ふだんはいびきをかかないのに、お酒を飲んだり、疲れていたりするといびきをかくことがあるのは、筋肉が緩んでふだんより舌や口蓋垂が下がり、気道が狭くなっていることが考えられます。



★見過ごされる「閉塞性睡眠時無呼吸症」

いびきの影に隠れて多くの人が見過ごしてしまっているのが、閉塞性睡眠時無呼吸症。

いわゆる「睡眠時無呼吸症」です。日本国内では、推定2200万人がこの病気になっているとされ、うち900万人に治療が必要とされていますが、実際に治療を受けているのは、わずか80万人程度。9割以上の人が、睡眠時無呼吸症を見過ごしてしまっています。

(出典:Benjafield AVet al.Lancet Respir Med 7:687-6982019、厚生労働省 令和5年社会医療診察行為別統計)

睡眠時無呼吸症とは舌や口蓋垂がいびきをかいている状態からさらに落ち込むことで気道が完全、または部分的に塞がってしまい、睡眠中の呼吸停止が生じる病気です。睡眠時無呼吸症の程度を示す指標として、専門機関で睡眠検査を行い判明する「AHI」があります。

1時間あたりの無呼吸と低呼吸(浅い呼吸が10秒以上続くこと)の合計回数を示すもので、いびきをかくなどの症状がありAHIが5以上だと睡眠時無呼吸症とされます。

15~30未満は中等症、 30以上は重症とされ、中等症以上は治療が必要とされています。



トリセツ02 閉塞性睡眠時無呼吸症 本当の怖ろしさ

★寝ている間にいつの間にかエベレストの頂上に!?

睡眠時無呼吸症は、気道が塞がることで寝ている間に何度も呼吸が停止します。

家族やパートナーがいびきをかいて寝ているとき、たまにいびきの音が止まるときはありませんか?もしかしたらそれは、呼吸が止まっているときかもしれません。呼吸が停止しているときに起こるのが、酸素をうまく取り込めないことによる血中の酸素飽和度の低下。正常に呼吸できている場合は血中の酸素飽和度は96~99%ほどですが、重症の睡眠時無呼吸症の場合、時に酸素飽和度50%程度まで下がることがあるのです。

酸素飽和度50%というのは、エベレストの頂上にいる時と同じぐらいのレベルとされています。

★未治療で放置していると重大な病気につながるリスクも

酸素飽和度が90%を下回ると、脳内の酸素が足りなくなります。脳に酸素をとどけようと心拍数が上がり、血圧も上昇。これが寝ている間に何度も繰り返されることで「高血圧」になり、血管や心臓にも負担がかかることで「心筋梗塞」や「脳卒中」のリスクにもつながります。さらに慢性的な酸素不足はすい臓や脳細胞に負担をかけ、「糖尿病」や「認知機能の低下」につながることも。アメリカ・ウィスコンシン州の30代~60代の男女1522人に対して行われた18年間の追跡調査では、健康な人の死亡率は18年間で1割に満たなかったのに対し、未治療で放置された重症の睡眠時無呼吸症の人は、4割以上の人が亡くなっていることがわかりました。これは、上記の「心筋梗塞」や「脳卒中」などにより死亡率が高くなっていると考えられています。



出典:Young T et al.Sleep.2008;31:1071-1078

トリセツ03対策編 5秒でできる! リスクを見抜くワザ リスクを見抜くには口蓋垂を見るべし

睡眠時無呼吸症のリスクを見抜くためには、声を出さずに口を大きく開け、舌を全力で 出した状態の口蓋垂(のどちんこ)の状態を見ます。下記のイラストのように、見え方を4つのClassで判定します。

口蓋垂が「全部見える」はClassⅠ、「先端以外は見える」はClassⅡ、「根元がかろうじて見える」はClassⅢ、「全く見えない」はClassⅣ。

日常的にいびきをかき、ClassⅢ、ClassⅣの人は睡眠時無呼吸症のリスクが高いとされています。



★口蓋垂でなぜわかる?睡眠時無呼吸症2つの原因

原因❶肥満


睡眠時無呼吸症の大きな原因の1つは肥満です。舌の根元は先に比べて動かず、脂肪がつきやすいため、肥満の人は舌の根元が太りやすい傾向があります。そのため、特に寝ているときに舌で気道が狭くなり、無呼吸症を起こしやすくなるのです。また、舌の根元の大きさは口蓋垂の見え方で測ることができるため、口蓋垂の見え方がリスクチェックにもなるのです。※肥満の方は舌だけでなく、気道も太って狭くなるので要注意です。

原因❷あごが小さい

あごが小さいと、口の中が狭まり、舌が収まりにくくなります。すると、就寝中に舌が大きく下がりやすくなり、気道を塞ぎ無呼吸状態を生み出します。そのため、あごが小さい人は肥満というほど太っていなくても睡眠時無呼吸症になりやすいのです。また、このケースも口蓋垂が見えにくくなることが多く、口蓋垂でリスクチェックをすることができます。

▷あごの小ささチェック方法

自身のあごが小さいかどうかをチェックすることもできます。定規や人さし指など、まっすぐなもので鼻先と上唇を結んだときに、下あごがつくかどうかを確認してください。下の左側の女性のように直線の上にしっかり下あごがついていれば小さくはありません。逆に、右側のように離れていたら、あごが小さい可能性があります。



「口蓋垂の見え方」や「あごの小ささチェック」は、あくまで睡眠時無呼吸症のリスクを測るための目安です。実際にどういう人が専門医にかかるべきか、詳しくはチェックシートで!?

トリセツ特製 閉塞性睡眠時無呼吸症リスクチェックシート



★専門医の探し方

専門医は「日本睡眠学会」または「日本睡眠歯科学会」のホームページから探せます。

▷日本睡眠学会から探す場合

?「睡眠医療認定」から「睡眠医療認定一覧」へ進み「日本睡眠学会専門医」または「日本睡眠学会歯科専門医」を見てください

https://jssr.jp/ (※NHKサイトを離れます)※別タブで開きます

▷日本睡眠歯科学会から探す場合

? 「睡眠歯科医・医療機関のご案内」を見てください  

https://jadsm.jp/ (※NHKサイトを離れます)※別タブで開きます

★専門医を受診すると受けられる治療

▷マウスピース(主に軽症~中等症の患者に使用)

主に軽症~中等症の患者に対して使用されるのが「マウスピース」。就寝中に着用し、下あごを持ち上げることで舌の落ち込みを回避。気道を確保します。専門医を受診し 「閉塞性睡眠時無呼吸症」 と診断された場合に保険適用の対象となります。



▷CPAP(主に中等症~重症の患者に使用)

主に中等症~重症の患者に対して使用されるのが「CPAP」。鼻から空気を送り込み、気道を広げることで睡眠中の呼吸停止を防ぎます。専門医を受診し、睡眠検査の結果AHI20以上と判明したら、保険適用の対象となります。



★いびきの音が気になる方へ!簡単セルフケア

▷横向き寝

横向きで寝る事で舌の落ち込みを防ぎ気道を確保。いびきの改善が期待できます。

筑波大学名誉教授の佐藤誠さんによると、横向きで長く寝るためには、体圧を分散させるために体幹と同じ太さの抱き枕がオススメということです。



▷スニッフィングポジション

“匂いを嗅ぐ”という姿勢で、首元にタオルなどをしき、鼻を少し持ち上げて呼吸しやすい位置に調節することでいびきの改善が期待できます。



⚠️注意

枕を高くしすぎると神経を圧迫し、首の痛みや肩こりにつながる可能性があります。

違和感がある場合は中止してください。
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