2025.6.17
「体重」のトリセツ

「体重」のトリセツ
公開:2025年4月17日(木)午後7:28
更新:2025年5月15日(木)午後3:59
NHK
「体重のトリセツ(取扱説明書)」ダウンロードはこちら?(巻末に「かん・たんカード」「1か月チャレンジシート」も掲載!)
https://www.nhk.or.jp/program/torisetsu-show/2025_taiju_mutm.pdf
トリセツ01 体重の常識が覆る?! 医学界の最前線
?最新情報!「女性の低体重/低栄養症候群」を提言
取材協力 日本肥満学会常務理事 小川渉 特命教授
2025年4月、メタボなど太りすぎに警鐘を鳴らしてきた日本肥満学会が、真逆とも思える発表を行いました。それはズバリ「女性の低体重/低栄養症候群」。
実は日本では、20代女性の5人に1人が低体重(痩せ BMI<18.5)にあたり、先進国でも特に高い割合。低体重や栄養不足は、骨量の低下や月経異常など、女性のさまざまな健康障害と関連していることが分かってきています。そこで、医学の世界で、女性の低体重や栄養不足による健康課題にアプローチしていこうという動きが始まっているのです。

?高齢者も「痩せ」に要注意!
「痩せ」は若い女性だけの問題ではありません。高齢者も低体重だと、フレイルやサルコペニア(加齢により筋肉量が減少し筋力が低下した状態)などのリスクが高まることが分かってきています。糖尿病外来では「体重を増やす指導」が行われている場合も。
さらに、35歳以上の35万人のデータから、BMIと死亡リスクの関係を解析したところ、太りすぎても痩せすぎても死亡リスクが高まり、この解析ではBMIが低体重の範囲にある方が死亡リスクの上昇が顕著であることが分かりました。

トリセツ02 やってみよう!あなたの“今の体型”と“理想の体型”は?
適切な「体重」の秘密を知るため、まずやってみてほしいのが、兵庫県立大学の永井成美教授らが開発した日本人版ボディイメージスケールを使ったアンケート。10体のイラストの中から、今の自分にもっとも近いと思う体型と、自分の理想の体型を選んでみましょう。

?あなたの“実際”の体型は?
実はこのイラスト、実際のBMIと対応して作られています。BMIとは身長と体重から計算される、国際的な体格指数です。日本では22が標準体重、18.5未満が低体重、25以上が肥満とされています。
?自分のBMIを調べてみましょう!
BMI = 体重[kg] ÷ 身長[m] ÷身長[m]
例)身長150 cm で体重50 kgなら
50 ÷ 1.5 ÷1.5 =22.2


※男性用のボディーイメージスケール画像の修正※
対応するBMIの数値について間違いがありました。訂正してお詫び申しあげます。
?浮き彫りになった“認識のズレ”
永井さんの研究によると、女性は【実際の体型】よりも「自分は太っている」と認識している人が多く、逆に男性は【実際の体型】よりも「自分は痩せている」と認識する傾向があるとのこと。実際よりも「太っている」と認識してしまうことで、不適切なダイエット行動に走りやすいことがシビアな痩せにつながると懸念されています。
トリセツ03 知られざる体重と健康の関係
取材協力 日本肥満学会常務理事 小川渉 特命教授
?知られざる体重と骨密度の関係
体重と深い関係があるのが骨。骨密度は、体重が増えるほど高いことが分かっています。骨の中では、古い骨を壊す破骨(はこつ)細胞と、新しく骨を作る骨芽(こつが) 細胞が働いていて、体重があることで骨への負荷が高まると、骨芽細胞が活発になり骨が強くなると考えられています。

?女性の健康のカギ!脂肪細胞
女性の骨密度に大きな影響を及ぼしているのが、嫌われがちな脂肪細胞。栄養が十分にとれていると、脂肪細胞は膨らんだ状態になり、「栄養が十分にある」というメッセージを持つホルモン「レプチン」を放出します。この情報が脳へ伝わり、さらに卵巣へ伝わると月経がきて、エストロゲンと呼ばれる、骨にとって欠かせない女性ホルモンが出ます。エストロゲンは、骨を壊す破骨細胞を抑えて、骨芽細胞を活発にして骨を強く保つため、適度に脂肪があることが、骨密度にとって非常に重要だと考えられています。

?骨密度アップは10代が肝心!
骨密度は、15~18歳の間に急速に高まり、20歳前後でピークを迎え、その後徐々に低下していきます。骨密度が高められる10代のうちに、しっかり食べて運動することが生涯の健康においてとても重要です。

トリセツ04 想像以上!失われやすい筋肉
取材協力 日本肥満学会 常務理事 小川渉 特命教授
?2週間でステーキ2枚分(400g)の筋肉が失われる?!
痩せることで失われるのが筋肉。イギリスの研究者が高齢者を対象に行った研究では、1日1500歩以下で2週間生活するだけで、(平均して)脚からステーキ2枚分(約400g)もの筋肉が失われたという衝撃の結果が出ています。このような実験は若者でも行われ、同じくらい筋肉が失われることが分かっています。

?食事と運動は筋肉を増やす刺激
日本肥満学会 常務理事の小川特命教授によると、運動はそれ自体が「筋肉を増やす刺激」であるため、逆に言えば、動かないと筋肉は積極的に分解されていきます。さらに、食事も筋肉を作る刺激。特にたんぱく質は、筋肉を作る材料として使われるだけでなく、たんぱく質をとることで体に「筋肉を増やすぞ!」という情報が伝わります。逆に言えば、絶食時間が長ければ長いほど筋肉は減っていくため、食事を減らすダイエットは筋肉も大きく減らしてしまう可能性があるのです。
?知られざる筋肉の働き
筋肉は、体を動かすだけでなくさまざまな役割を持っています。
①糖を取り込む
筋肉は血液中から糖を取り込む作用を持っているため、体重が減って筋肉の量が減ると、糖尿病のリスクが高まることが分かってきています。
②ホルモンを分泌する
近年の研究で、運動によって筋肉から出るホルモンは、骨や血管、脂肪などの臓器に作用することが分かってきています。
トリセツ05 やってみよう!1か月健康チャレンジ
取材協力 順天堂大学 田村好史 教授
?️食事
?1日3食(主食+おかず)しっかり食べましょう!
?たんぱく質をしっかりとりましょう!
1日の摂取量の目安は 体重 ×1.0~1.2 → □ g
例)体重50kgなら50~60gのたんぱく質をとるとGOOD! ※鶏モモ肉であれば1日1枚分程
食べ物のたんぱく質の量が簡単に分かる 「かん・たんカード」もご活用ください!?
https://www.nhk.or.jp/program/torisetsu-show/2025_kantancard.pdf

?➡️運動
?週3回 5分だけ 好きな筋トレをやってみましょう!

?毎日8000歩 歩く 階段を使うと強度が上がってGOOD!
⚠️基礎疾患がある人 体調に不安がある人は医師に相談を。無理をしないでください。