2025.5.20
糖化のトリセツ
「糖化」のトリセツ
公開:2025年4月10日(木)午後7:25「糖化のトリセツ(取扱説明書)」ダウンロードはこちら?
https://www.nhk.or.jp/program/torisetsu-show/2025_touka_ssfm.pdf

トリセツ01 老化の原因 “糖化は万病の元” だった!
?糖化とはたんぱく質と糖が結びついて体がコゲること!
「糖化」は美容や老化のみならず、寿命にも深く関係しているとされ、いま注目されている現象です。
ヒトの体の多くを占めるたんぱく質。筋肉や骨、臓器、皮膚、爪などの主成分もたんぱく質です。そこに血液中の余分な糖が結びついて、たんぱく質が固く茶色く変色してしまう現象が「糖化」です。肉が熱で茶色く変化するこげと似たようなもので、糖化はヒトの体温によって長い時間をかけて起こります。糖化によって変化したたんぱく質はAGE(終末糖化産物)と呼ばれ、一度できてしまうと元に戻りにくいやっかいな物質です。糖化が皮膚で起こればしみやシワといった肌の老化。骨で起これば骨粗しょう症、脳で起これば認知症や脳梗塞、その他にも心血管疾患、動脈硬化、腎臓病、肝臓病、糖尿病、がんにもAGEが深く影響しているのではないかと言われています。

?「糖化」は寿命をも予測する!?
2018年、オランダのフローニンゲン大学がAGEに関する驚くべき研究を発表しました。AGEの蓄積度が分かる、糖化測定器を使って、7万人以上の健康的な人たちのAGEを調べたところ、AGEの蓄積度が高いグループは低いグループに比べて、糖尿病や心臓病になるリスクは3倍、死亡リスクは5倍になることが判明しました。しかも、コレステロールや血圧などの数値とは関係なく、AGEが高いだけでも死亡リスクは有意に上がりました。この調査を行った研究者は、体の糖化度であるAGEを測定することは、病気や老化、死亡のリスクを最も正確に予測できる可能性があることを示していると言います。

?日本でも一部の医療施設で「糖化測定器」を使ってAGEを測定できます。ご自分のAGEを測定したい方は、かかりつけの医師に相談するか、インターネットで「糖化測定器 導入施設」と検索すると調べられます。

トリセツ02 どんな人が糖化しやすいのか?
?日本人1万人の調査で分かった糖化しやすい人の特徴!
体の中のたんぱく質と余分な糖が結びついて起こる糖化。そもそも糖化の研究は、血糖値の高い糖尿病の人たちに起こる症状として研究されてきましたが、近年、糖化測定器などの普及によって、血糖値の正常な健康な人たちの中にも糖化が進んでいる人が存在することが分かってきました。
そこで昭和医科大学の山岸昌一さんが、健康な日本人1万人のAGEを測定し、さらに生活習慣を調査したところ、健康な人でも糖化の進んでいる人に特徴的に見られる生活習慣が浮き彫りになりました。今回山岸さんの監修のもと、トリセツ独自の「糖化度チェックリスト」を作成しました。日々の生活習慣のチェックにお役立てください。

<糖化度チェックリスト>
□ 運動不足である(30分程度の運動を週1回以下)
□ 睡眠不足である(5時間未満が週4日以上)
□ 甘いものをよく食べたり飲んだりする
□ ふだんから朝食をよく抜く
□ 食後に急激な眠気を感じることがある
□ 夕方にけん怠感 だるさを感じることがある
□ こげの多い食品や加工食品を多くとっている
□ アルコールをよく飲む(ほぼ毎日)
□ たばこを吸っている
?チェックが3~4つ→糖化リスクに<注意>
?チェックが5つ→糖化リスクに<要注意>
※糖化は長い時間をかけて徐々に進行していくものなので、短期間で改善はしません。チェックリストを参考にして、糖化しにくい生活習慣を長く続けることが大切です。

トリセツ03 隠れた糖化リスク、それが食後高血糖!
?糖化年齢の高い人5人中4人で発覚した食後高血糖!
今回、糖化測定器で「糖化年齢が実年齢よりも高い」と判定された方5人に、血糖値を24時間モニタリングできる機器を取りつけてもらいました。5人は健康診断では血糖値は正常と診断されていて、食習慣や運動習慣も特に問題のない方々です。しかし調査を始めてみると、5人中4人は食後に急激に血糖値が上昇することが分かりました。
これは「食後高血糖」という症状で、食後に血糖値が180mg/dLを超えると要注意。一般的な健康診断では「空腹時血糖」を測るため、食後に急上昇する食後高血糖は、ふだん気づきにくい「隠れ高血糖」とも呼ばれています。食後高血糖の状態が長く続いたまま放置しておくと、血中の余分な糖により、糖化が進んでしまう可能性も指摘されています。トリセツ02の糖化度チェックでは食後高血糖の人に見られる項目も含まれています。ぜひ参考にしてみてください。

?➡️血糖値マニアがみずから実践!“ちょこっと運動”
血糖値の専門家、東京慈恵会医科大学の西村理明さんが、毎日行っている食後高血糖の対策を教えてくれました。それはスバリ、食後に“ちょこっと動く”こと、ただこれだけ!西村さんが実際に行っているのは、食後に階段を2階分ほど上り下りしたり、廊下を早歩きしたりすること。血中の糖は筋肉を動かす時に使われます。人体の中でも最も大きい太ももの筋肉を動かすことで、食後にあがった糖を効率よく消費するというのが狙いです。
?➡️上り↗️ ヒザを90度折り曲げられるよう一段抜かしがベスト。やや前かがみで太ももに重心を置くとより効果的。
?下り↘️ ヒザを曲げるのは最小限にして、なるべく音を立てないよう太ももの筋肉を意識して下りる。*階段の上り下りに不安がある方は無理をしないでください。
?ルール① 運動時間は1~2分でOK。階段を使わなくても、スクワットや早歩き、立っているだけでも効果はあります。
?ルール② 開始のタイミングは食後15~30分から。食後2時間の間は30分に1回行うと効果的です。

?“ちょこっと運動”は毎日続けることが大事!1フロア上のトイレに行く、30分に1回は立ち上がって少し動く、ちょっと遠くへランチに行くなど、日々の習慣になるよう無理しない範囲で行ってください。
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