2026.9.1
困難は解決策を連れてくる
「心が熱くなる365人の仕事の教科書」(到知出版社)から一話ご紹介します。
今回は、DANTOTZconsulting代表 川勝宣昭氏による「困難は解決策を連れてくる」です。
困難は解決策を連れてくる
川勝宣昭
DANTOTZconsulting代表

日本電産芝浦が業界首位に立ち、なお成長軌道に乗ったところで、私は二社目の再建を命ぜられました。5年前と同じように、ある日突然派遣が決まったのです。
その会社はエレベーターの速度制御機をつくるネミコンという社名で、規模こそ1社目より小さいものの、再建への道のりは遥かに難しいものとなりました。会社規模は従業員が百名程度で、売上約四十億円に対し年間八億円の赤字で、永森重信社長から与えられたテーマは、やはり一年以内の黒字化です。
なぜ難しいかと言えば、新しい速度制御器をエレベーター製作会社に採用してもらうには、試験期間に最低一年を要するという慣行がありました。そのためいくら新規の営業に回ったり、製品開発に力を注いでも、一年以内の売り上げ増に繋がらない状況にあったのです。
悩んだ挙句に国内市場から目を転じ、注目したのが当時開発ラッシュの続く中国市場でした。調べてみたところ中国ではエレベーター製作会社の社長に自社製品を気に入ってもらえれば、僅か一週間で採用が決まるというものです。
すぐに中国市場に打って出たことで、翌月から売り上げ増が見込めることになりましたが、すぐに手放しに喜べないことがわかりました。なぜなら中国の相手企業から支払いがなされないばかりか、手形制度が存在しないため訴訟に持っていくことすらできないという状況に直面したのです。
この時も必死で打開策を探し始めた結果、上海にある国営商社と組み、そのナンバー2を動かすことで相手企業に代金を支払わせることができました。中国では企業と企業よりも、人と人との関係が大きなウエートを占めているのです。中国とはそういう商習慣の国なのです。
こうして八方手を尽くすことで黒字化への道筋をつけたわけですが、いかに困難な状況においても何かしら行動をおこせば解決策は必ず出てくるというのが、日本電産で得た一番の教えだったかもしれません。
「困難は解決策を連れてくる」
これは永守重信社長の言葉の名で最も感銘を受けたものの一つで、これに関連してこんな話をしてくれたことがあります。
「向こうから困難さんがやって来る。誰でも困難からは逃げたい。だから君も困難から逃げたいだろう。しかし困難さんから逃げてみろ。困難さんは脇を通り過ぎていくが、ひょっとその背中を見たら、後ろに『解決策』というリュックを背負っているじゃないか。逃げたら解決策も逃げていくんだぞ」
生きた教訓とはこういうものかと思ったものです。
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今回は、DANTOTZconsulting代表 川勝宣昭氏による「困難は解決策を連れてくる」です。
困難は解決策を連れてくる
川勝宣昭
DANTOTZconsulting代表

日本電産芝浦が業界首位に立ち、なお成長軌道に乗ったところで、私は二社目の再建を命ぜられました。5年前と同じように、ある日突然派遣が決まったのです。
その会社はエレベーターの速度制御機をつくるネミコンという社名で、規模こそ1社目より小さいものの、再建への道のりは遥かに難しいものとなりました。会社規模は従業員が百名程度で、売上約四十億円に対し年間八億円の赤字で、永森重信社長から与えられたテーマは、やはり一年以内の黒字化です。
なぜ難しいかと言えば、新しい速度制御器をエレベーター製作会社に採用してもらうには、試験期間に最低一年を要するという慣行がありました。そのためいくら新規の営業に回ったり、製品開発に力を注いでも、一年以内の売り上げ増に繋がらない状況にあったのです。
悩んだ挙句に国内市場から目を転じ、注目したのが当時開発ラッシュの続く中国市場でした。調べてみたところ中国ではエレベーター製作会社の社長に自社製品を気に入ってもらえれば、僅か一週間で採用が決まるというものです。
すぐに中国市場に打って出たことで、翌月から売り上げ増が見込めることになりましたが、すぐに手放しに喜べないことがわかりました。なぜなら中国の相手企業から支払いがなされないばかりか、手形制度が存在しないため訴訟に持っていくことすらできないという状況に直面したのです。
この時も必死で打開策を探し始めた結果、上海にある国営商社と組み、そのナンバー2を動かすことで相手企業に代金を支払わせることができました。中国では企業と企業よりも、人と人との関係が大きなウエートを占めているのです。中国とはそういう商習慣の国なのです。
こうして八方手を尽くすことで黒字化への道筋をつけたわけですが、いかに困難な状況においても何かしら行動をおこせば解決策は必ず出てくるというのが、日本電産で得た一番の教えだったかもしれません。
「困難は解決策を連れてくる」
これは永守重信社長の言葉の名で最も感銘を受けたものの一つで、これに関連してこんな話をしてくれたことがあります。
「向こうから困難さんがやって来る。誰でも困難からは逃げたい。だから君も困難から逃げたいだろう。しかし困難さんから逃げてみろ。困難さんは脇を通り過ぎていくが、ひょっとその背中を見たら、後ろに『解決策』というリュックを背負っているじゃないか。逃げたら解決策も逃げていくんだぞ」
生きた教訓とはこういうものかと思ったものです。

