2026.9.26
老人ホーム化する日本の刑務所

老人ホーム化する日本の刑務所が危ない─スペイン紙が報じる「刑務所に入るために犯罪を犯す高齢者たち」
「社会復帰することは考えられない」──日本では生活苦から、軽犯罪を犯して刑務所に入る高齢者が近年、あとを絶たない。「刑務所にいて幸せ」と感じてしまう、歪んだ日本社会の姿をスペイン「エル・パイス」紙が報じた。

「刑務所のなかで幸せ」社会復帰を望まない高齢受刑者が映し出す、歪んだ日本社会
刑務所で住居や食事、医療ケアを確保するために軽犯罪を犯す高齢者の増加に伴い、日本の刑務所は高齢の受刑者に一層配慮した施設へと変わってきている。そこは、犯罪への処罰よりも社会復帰を重視する場となっている。
しかし一部の専門家は、高齢受刑者の維持にかかる高額なコストに警鐘を鳴らす。そして、老人ホーム化する刑務所は、高齢者を支えきれなくなった地域社会の弱体化という問題を露呈させていると指摘する。
福島刑務所の矯正処遇部担当職員であるナカバヤシヤスオは、取材に対してこう説明する。

「移動に歩行器が必要な受刑者もいますし、自分で紙おむつを穿けない人もいました。しかし私たちの最大の懸念は、出所時までに認知症や精神的な症状を悪化させないようにすることです。重い身体障がいのある人は医療設備を備えた施設へ移送しますが、精神的な問題を抱える人の対応は私たちの責任です」
年金だけでは生きていけない
福島刑務所は、福島駅からタクシーで15分ほどの場所に位置する。
16万6000平方メートルの敷地には1655人を収容可能だが、日本の人口減少を反映しているかのように現在(2026年)服役しているのは860人のみである。65歳以上の高齢受刑者は25人(わずか3%)にとどまる。しかし、2024年の矯正統計によると、日本国内で同年末に収容されていた4万544人のうち、15%が65歳以上の高齢受刑者であった。
近年、65歳以上の受刑者の少なからぬ割合が、一定期間雨露をしのぎ温かい食事を得るために軽犯罪を犯して収容されていることが明らかになっている。
日本政府が作成した2024年版の犯罪白書によれば、高齢女性による犯罪の71%、高齢男性の39%が万引き、つまり軽微な窃盗だった。
日本は世界で最も平均寿命が長い国の一つであり、男性が81歳、女性が87歳である。2025年の公式数値によれば、1億2300万人の人口の29.4%が65歳以上であり、先進国のなかで最も高齢化が進んだ社会となっている。
少子化、労働力不足、そして政府の移民受け入れに対する慎重な姿勢は、定年延長を促し、高齢者向けのパートタイム雇用の増加をもたらしている。そして非正規雇用で働いてきた多くの高齢者は、生きるのに不充分な年金しか受給できず、資金不足がさらなる孤立を招いている。
福島刑務所にいる高齢者は、ほぼ全員が再犯者だという。ナカバヤシはこう語る。
「2回目の服役者もいれば、10回目の服役者もいます」

