2026.9.19
介護業界の未来予想

介護業界の未来予測|2030・2035・2040年を見通す【2026年最新】
公開日:2026.08.05

介護業界は、これから大きな変化の時代を迎えます。
高齢化のピークに向けて、介護のニーズはさらに高まる一方で、
それを支える担い手は不足していく
——この「需要増と担い手不足」の構造が、今後10〜15年で、いっそう鮮明になっていきます。
では、具体的に、
2030年、2035年、2040年に、介護業界はどうなっているのでしょうか。
本記事では、公的な将来推計にもとづき、3つの節目ごとに介護業界の未来を予測し、
そのなかで介護事業者が生き残るための視点を、解説します。
まず結論(3行まとめ)
・高齢者人口は2040年前後に約3900万人でピークを迎え、
総人口の約35%が高齢者に。介護ニーズは高まり続ける
・一方、介護職員の必要数は2040年度に約272万人とされ、現役世代の急減で、
担い手不足がいっそう深刻化する
・認知症や単身高齢者の増加も進む。
生き残るカギは、生産性向上とテクノロジー活用で、少ない人手でも質を保つこと
※本記事は2026年7月時点で公表されている各種の将来推計にもとづく見通しです。数値は推計であり、前提の変化により変わり得ます。
最新の推計は厚生労働省等でご確認ください。
前提——「2025年問題」から「2040年問題」へ
未来を見通す前に、大きな流れを押さえましょう。
介護業界の将来を語るとき、カギとなるのが「2025年問題」と「2040年問題」です。
「2025年問題」は、いわゆる団塊の世代(1947〜49年生まれ)が、
全員75歳以上の後期高齢者になることを指します。
後期高齢者は、介護を必要とする割合が高まるため、介護ニーズが一段と増える節目でした。
そして、その先にあるのが「2040年問題」です。
これは、団塊ジュニア世代(1971〜74年生まれ)が65歳以上に達し、
高齢者人口がピークに近づく一方で、
それを支える現役世代(生産年齢人口)が急激に減る、という問題です。
つまり、これからの介護業界は、
「高齢者は増え続け、支え手は減り続ける」という、
かつてない局面に向かっていきます。
この大きな流れを前提に、2030年、2035年、2040年を見ていきましょう。
2030年の介護業界
まず、2030年の姿です。
2025年問題を通過し、団塊の世代が全員後期高齢者となった後の時代です。
介護ニーズは、高い水準で推移しています。
この頃には、担い手不足が、いよいよ現実の経営課題として、
多くの事業所にのしかかっています。
介護職員の必要数は、2026年度で約240万人とされ、
そこからさらに増えていく見込みです。
しかし、それを満たすだけの人材確保は、容易ではありません。
人手が足りず、利用者を受け入れられない事業所も出てきます。
そして、この人手不足への対応として、ICT(情報通信技術)や介護ロボット、
記録の電子化といった、生産性向上の取り組みが、
「一部の先進的な事業所のもの」から、
「多くの事業所にとって当たり前のもの」へと広がっていきます。
2030年は、「効率化なしには、事業を続けられない」という認識が、
業界に定着していく時期といえるでしょう。
2035年の介護業界
次に、2035年の姿です。
高齢者人口は、なおも増加を続け、ピークに近づいていきます。
介護のニーズは、さらに高まっています。
この頃に、より鮮明になるのが、「高齢者の中身の変化」です。
一つは、認知症の人の増加です。
ある推計では、認知症の人は2040年に向けて増え続け、
数百万人規模に達するとされています。
認知症ケアへの対応力が、事業所にいっそう強く求められます。
もう一つが、単身の高齢者、いわゆる「おひとりさま高齢者」の増加です。
家族が近くにいない高齢者が増えることで、
在宅生活を支える介護サービスの役割は、さらに重くなります。
加えて、地域差も広がります。高齢者が増え続ける都市部と、
高齢者すら減り始める過疎地域とで、直面する課題が異なってきます。
2035年は、「量」の増加に加えて、
「質」と「多様性」への対応が問われる時期になるでしょう。
2040年の介護業界
そして、2040年です。
この年は、日本の高齢化にとって、大きな節目となります。
高齢者人口は、約3900万人でピークを迎え、総人口に占める割合は、約35%
——およそ3人に1人が高齢者、という社会になります。
介護ニーズは、最高水準に達します。
介護職員の必要数は、2040年度に約272万人と推計されています。
2022年度が約215万人でしたから、そこから約57万人を増やす必要がある計算です。
しかし、この2040年こそ、現役世代(生産年齢人口)の減少が、最も厳しくなる時期です。
介護を必要とする人が最も多くなるのに、それを支える働き手は、最も不足する
——これが「2040年問題」の核心です。
もはや、「人を増やして対応する」という発想だけでは、立ち行きません。
限られた人材で、いかに質の高い介護を、持続的に提供するか。
その仕組みを築けた事業所だけが、生き残る時代になります。
2040年は、介護業界にとって、生産性が事業の存続を左右する、正念場となるでしょう。
これからの介護業界を貫く「3つの構造変化」
2030年から2040年にかけて、介護業界には、
共通する「3つの構造変化」が流れています。
改めて整理します。
第一に、「担い手不足の深刻化」です。
高齢者が増え、現役世代が減るなかで、介護の担い手は、慢性的に不足し続けます。
人材の確保と定着、そして少ない人手で回す工夫が、すべての事業所の課題になります。
第二に、「利用者像の変化」です。
認知症の人や、単身の高齢者、医療的なケアを必要とする重度の人が増え、支援は、
より専門的で、より手厚いものが求められます。
第三に、「地域差の拡大」です。
高齢者が増え続ける地域と、減り始める地域とで、必要とされる体制が分かれ、
それぞれの地域に合った対応が必要になります。
この3つの構造変化に、どう向き合うか。
それが、これからの介護経営の、大きなテーマです。
介護業界の未来を生き抜く——生産性向上とテクノロジー
では、この厳しい未来のなかで、介護事業者は、どう生き残ればよいのでしょうか。
答えの中心にあるのが、「生産性の向上」と「テクノロジーの活用」です。
担い手が慢性的に不足する時代には、「もっと人を増やす」ことに頼れません。
だからこそ、今いる職員が、本来のケアに集中できる環境を整え、
一人ひとりの生産性を高めることが、不可欠になります。
とくに、記録・書類・情報共有といった間接業務を効率化することは、最も現実的で、
効果の大きい取り組みです。
ここで生まれた時間と余力を、利用者と向き合うケアに、
そして認知症対応などの専門性の向上に、注ぐことができます。
ICTや介護記録システムの活用は、もはや「余裕のある事業所の選択肢」ではなく、
「生き残るための必須の投資」になっていきます。
未来の介護業界を生き抜くのは、いち早く効率化に取り組み、
少ない人手でも質の高い介護を提供できる、しなやかな事業所です。
その備えは、2040年を待つのではなく、今から始めることが大切です。

