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車椅子でお尻の位置がずれるのはなぜ?シーティングの基本と仙骨座りの対策



車椅子に高齢者を乗せて移動していると、いつの間にかお尻が前にずれ、姿勢が崩れてしまうことがあります。お尻が前にずれ、腰が丸くなった姿勢を「仙骨座り」といいます。

仙骨座りは、筋力の低下や痛みをかばうために自然にとられる姿勢でもあり、それ自体が「間違った座り方」というわけではありません。しかし、そのままではお尻の一部に圧が集中しやすく、腰や背中への負担、さらには床ずれの原因につながることもあります。姿勢の崩れを防ぎ、快適に座り続けるために重要なのが「シーティング」です。

本記事では、お尻が前にずれてしまう理由と、安定した姿勢を保つためのシーティングの基本を解説します。

お尻がずれる原因「仙骨座り」とは?



車椅子で姿勢が崩れる体勢としてよく知られているのが「仙骨座り」です。その特徴と、なぜ起こるのかを解説します。

仙骨座りの特徴

本来、椅子に座るときは左右の坐骨で体重を支えます。お尻全体を座面にしっかりとつけ、骨盤を立てた状態で安定させるのが理想です。しかし、車椅子での移動時の振動や筋力の低下などにより、お尻が少しずつ前へずれると、お尻の中央にある「仙骨」付近で体重を支える姿勢になります。

仙骨座りには、次のような特徴があります。

お尻が座面の前方にずれている
背もたれに浅くもたれかかり、腰が丸まっている
足が前方に投げ出されている
なぜお尻が前にずれてしまうのか
原因は筋力低下だけではありません。「体に合っていない車椅子」の使用も大きな要因です。

仙骨座りには、次のような特徴があります。

座面の奥行きが長すぎて、膝裏が当たっている
クッションが柔らかすぎて、お尻が沈み込んでいる
フットサポート(足置き)が高すぎ、または低すぎる
背もたれの張りが弱く、体幹を支えきれていない
車椅子が以上のような状態の場合は、見直しの必要があるでしょう。

姿勢の崩れが招く3つのリスク



シーティングの目的は、「良い姿勢」を保つことではなく、その人が安全に、快適に過ごせる状態を支えることです。姿勢の崩れを放置すると、身体機能や生活の質に直結する深刻なリスクを招きます。姿勢の乱れによって起こり得る3つのリスクを紹介します。

リスク1:皮膚トラブルの発生

仙骨や尾骨に圧が集中すると皮膚へ負担がかかります。さらに前方へ滑る際に摩擦(ずれ力)が加わると、皮膚トラブルが起こりやすくなります。

リスク2:呼吸・嚥下への悪影響

骨盤が後ろに倒れると、胸が圧迫されて呼吸が浅くなります。また、あごが上がったり、逆に首が垂れ下がったりすることで、飲み込みの機能が低下し、誤嚥(ごえん)を引き起こす恐れもあります。

リスク3:活動意欲の低下と疲れやすさ

不安定な姿勢を維持しようとすると、無意識に筋肉が緊張し、慢性的な疲労につながります。「座っているだけで疲れる」状態では、何かに取り組もうとする意欲も湧きにくくなってしまいます。

正しいシーティングとは?覚えておきたい「3つのポイント」



では、どのように姿勢を整えればよいのでしょうか。車椅子で移動する際にできるだけ正しい姿勢を保つためには、シーティングの考え方が欠かせません。ここでは、シーティングの基本と具体的な手順を紹介します。

シーティングとは?

シーティングとは本人の身体機能や体格、生活動作に合わせて、安定した座位をつくるために環境を整えることを指します。骨盤や体幹を適切に支え、圧力を分散し、長時間でも安全かつ快適に座り続けられる状態をつくるのが目的です。

ポイント1:お尻をしっかり奥まで入れる

重要なのは、深く座ることです。お尻が背もたれに届いていないと、骨盤が安定しません。介助する場合は、いったん上体を軽く前に倒し、お辞儀をするような姿勢をとってから、お尻を奥まで入れ直します。これにより、左右の坐骨で体重を支えやすくなります。

ポイント2:骨盤を「立てる」意識

次に意識したいのが骨盤の位置です。骨盤が後ろに倒れると仙骨座りになります。できるだけニュートラルな位置を保つことが大切です。シーティング用クッションを活用し、体格に合わせて支えると安定感が向上します。必要に応じて背もたれの張りや角度も調整しましょう。

ポイント3:足裏全体で荷重を支える

最後に確認するのが足元の安定です。足裏がしっかり支えられていないと骨盤は安定しません。フットサポートが高すぎると圧力が集中し、低すぎると体が前に滑りやすくなります。太ももが座面とほぼ平行になり、足裏全体で体重を分散できる高さに調整します。

姿勢を安定させ、楽に座り続けるための工夫



姿勢を安定させるためには、クッションや車椅子の細かな調整が効果的です。ここでは、日常の中で取り入れやすい具体的な工夫を紹介します。

座位保持クッションを使う

仙骨座りを防ぐには、お尻が前にずれにくい環境を整えることが大切です。そのために役立つのが、姿勢を支えるために作られた座位保持クッションです。柔らかさだけで選ぶのではなく、骨盤を安定させられる構造かを確認しましょう。坐骨を支えられる形状のものは後傾を防ぎやすくなります。クッションのへたりも定期的に確認し、沈み込みが強くなっていないかをチェックします。​
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