2026.2.23
縁(えにし)の灯火(ともしび)
昨日2月22日猫の日と猫繋がりで、昔話を紹介します。
「縁(えにし)の灯火(ともしび)」
昔々、ある険しい山で1人孤独に炭を焼いて暮らす源(げん)という誠実な若者がおりました。

ある冬の日、源は小屋の前で足を痛めて動けなくなっていた1匹の茶猫を助けました。

源は傷ついた猫を背負って小屋へ帰り、自分のなけなしの食事を分け与え、薬草を塗って手当をしました。

猫は歩けるようになると源を本当の家族のようにしたい、いつも彼の後をついて回るようになりました。源はその猫を縁(えん)と名付け一緒に暮らし始めました。

「お前さんの炭は日持ちがいいからの。待っていたよ」

ある日、山をかつてないほどの大吹雪が襲いました。雪は止むことなく降り続き、外へ出ることもできない日が何日も続きました。

そんな中、源は重い病にかかり高い熱を出して倒れてしまいます。炭を町へ売りに行くこともできず、小屋に残っていた食べ物もそこを突きかけていました。

縁はその夜からは1人で山を降り吹雪の中、町へ向かうようになったのです。重い炭を背にして、雪に足を取られながら町に向かいますが、町には人影はありませんでした。それでも縁は一軒一軒家を回ります。

「大変じゃないか。吹雪の中を売りに来たのかい。寒かっただろう。1つおくれ」

縁だと知った人々は何も言わず炭を買い食べ物を手渡してくれました。

「縁よ。この吹雪だ。気をつけて帰るんだぞ。」

縁はそれを背負い、源を思いながらひたすら山を登ります。しかしついに炭も食べ物全て尽きてしまいました。縁は残ったわずかなお金を握り、また山を降ります。

山を下り山を登り、その道のりはあまりにも過酷で縁の体力は少しずつ確実に奪われていったのです。

「縁じゃないか。炭は全部売れてしまったのかい?」
「炭はもうありません。これで最後なのです」

そしてある日、縁は力つき静かに倒れてしまいました。

その時、1人の僧侶が現れます。僧侶は静かに手を合わせ、小さな命のために祈りました。するとその瞬間縁の意識は火の神が待つ世界へと運ばれていったのです。

「お願いします。どうか源を助けてください。あの人は雪の中で倒れていた私を何も言わず、ただ温めてくれました。食べ物がなくなっても、炭が減ってもあの人は自分のことを後回しにして私を生かしてくれました。
どうかあの人の体を温める炭をお与えください。
私の命と引き換えでも構いません。あの人が生きられるならそれで十分です」

「お前はなんと優しい魂だ。自分の命を削ってまで1人の人を守ろうとする。その思いは火よりも温かく炭よりも深い。良いでしょう。私は決して消えぬ炭を1つ与えましょう。
それはどれほど燃えても灰になることはありません。その火は源の体を温め命を繋ぐでしょう。その誠実な思いに答え、もう1つ約束を与えましょう。
来世もそのまた次の世も源と縁2つの魂は必ず巡り合う。姿が変わっても時代が変わってもその縁は決して解けることはない。安心して行きなさい。お前の思いはすでに永遠の火となったのです」

火の神様はその純粋な心に打たれ、猫の温かな真心を炭に封じ与えました。その炭は決して消えることのないぬくもりを宿し、人と猫を結ぶ「えにしび」と呼ばれ語り継がれました。
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「縁(えにし)の灯火(ともしび)」
昔々、ある険しい山で1人孤独に炭を焼いて暮らす源(げん)という誠実な若者がおりました。

ある冬の日、源は小屋の前で足を痛めて動けなくなっていた1匹の茶猫を助けました。

源は傷ついた猫を背負って小屋へ帰り、自分のなけなしの食事を分け与え、薬草を塗って手当をしました。

猫は歩けるようになると源を本当の家族のようにしたい、いつも彼の後をついて回るようになりました。源はその猫を縁(えん)と名付け一緒に暮らし始めました。

「お前さんの炭は日持ちがいいからの。待っていたよ」

ある日、山をかつてないほどの大吹雪が襲いました。雪は止むことなく降り続き、外へ出ることもできない日が何日も続きました。

そんな中、源は重い病にかかり高い熱を出して倒れてしまいます。炭を町へ売りに行くこともできず、小屋に残っていた食べ物もそこを突きかけていました。

縁はその夜からは1人で山を降り吹雪の中、町へ向かうようになったのです。重い炭を背にして、雪に足を取られながら町に向かいますが、町には人影はありませんでした。それでも縁は一軒一軒家を回ります。

「大変じゃないか。吹雪の中を売りに来たのかい。寒かっただろう。1つおくれ」

縁だと知った人々は何も言わず炭を買い食べ物を手渡してくれました。

「縁よ。この吹雪だ。気をつけて帰るんだぞ。」

縁はそれを背負い、源を思いながらひたすら山を登ります。しかしついに炭も食べ物全て尽きてしまいました。縁は残ったわずかなお金を握り、また山を降ります。

山を下り山を登り、その道のりはあまりにも過酷で縁の体力は少しずつ確実に奪われていったのです。

「縁じゃないか。炭は全部売れてしまったのかい?」
「炭はもうありません。これで最後なのです」

そしてある日、縁は力つき静かに倒れてしまいました。

その時、1人の僧侶が現れます。僧侶は静かに手を合わせ、小さな命のために祈りました。するとその瞬間縁の意識は火の神が待つ世界へと運ばれていったのです。

「お願いします。どうか源を助けてください。あの人は雪の中で倒れていた私を何も言わず、ただ温めてくれました。食べ物がなくなっても、炭が減ってもあの人は自分のことを後回しにして私を生かしてくれました。
どうかあの人の体を温める炭をお与えください。
私の命と引き換えでも構いません。あの人が生きられるならそれで十分です」

「お前はなんと優しい魂だ。自分の命を削ってまで1人の人を守ろうとする。その思いは火よりも温かく炭よりも深い。良いでしょう。私は決して消えぬ炭を1つ与えましょう。
それはどれほど燃えても灰になることはありません。その火は源の体を温め命を繋ぐでしょう。その誠実な思いに答え、もう1つ約束を与えましょう。
来世もそのまた次の世も源と縁2つの魂は必ず巡り合う。姿が変わっても時代が変わってもその縁は決して解けることはない。安心して行きなさい。お前の思いはすでに永遠の火となったのです」

火の神様はその純粋な心に打たれ、猫の温かな真心を炭に封じ与えました。その炭は決して消えることのないぬくもりを宿し、人と猫を結ぶ「えにしび」と呼ばれ語り継がれました。

