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介護ニュース



2025年12月11日

【急務】介護職の賃上げ新施策で再注目 タイムスタディで実現した「ケアの質」と「働きやすさ」の両立


社会福祉法人津山福祉会 特別養護老人ホーム高寿園 Solution課長 野尾徳子氏

本記事は、2025年10月3日に開催された「科学的介護フォーラム’25 in 大阪」におけるハカルトコミュニティオフ会での野尾徳子氏のご登壇内容を基に作成しています。



《 特別養護老人ホーム高寿園の外観(2015年ユニット型特養として全面移転)》

◆ 導入の背景

岡山県北部、津山市に位置する特別養護老人ホーム高寿園。1981年の開設以来、地域の高齢者福祉を支えてきた同施設は、2015年10月にユニット型特養として全面移転を果たしました。

しかし、新たな施設での運営をスタートさせたとき、目の前には大きな課題が立ちはだかっていました。

「津山市は人口減少が進む地域です。若い世代が都市部に流出し、介護人材の確保は年々厳しくなっていました」と語る野尾氏。全国的な人材不足の波は、地方の介護施設にとってより深刻な問題でした。

新施設への移転を機に、より効率的で持続可能な運営体制の構築が急務となりました。そこで同施設が着目したのが、「業務の可視化」によるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進でした。




《 科学的介護フォーラム’25にて講演する野尾徳子氏 》
◆ 現状把握の第一歩|タイムスタディによる業務可視化

高寿園が最初に取り組んだのは、ハカルトを活用したタイムスタディでした。

「まず現状を正確に把握しなければ、何から改善すべきか判断できません。職員一人ひとりがどの業務にどれだけの時間を費やしているのか、どの時間帯に業務が集中しているのか、データで見える化することから始めました」

タイムスタディの実施により、以下のような具体的なデータが明らかになりました。

◯ 業務が集中する時間帯:朝と夕方の排泄ケア・食事介助に業務が偏っていること
◯ 職員個々の負担量:同じ職種でも個人によって業務負担に大きな差があること
◯ 間接業務の多さ:記録や申し送りなど、直接ケアに関わらない時間が想像以上に多いこと


《 タイムスタディによる直接介護・間接介護の業務分析(時間帯別)》

「数字で見ることで、感覚的に感じていた課題が客観的に浮き彫りになりました。特に夜間の排泄ケアの負担が大きく、職員の身体的負担が限界に近いことが分かりました」

※ こうしたタイムスタディの取り組みは、政府の今年度の補正予算案に基づく補助金の要件にもなっているなど、制度対応の観点からも欠かせないものとなっています。


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◆ データに基づく目標設定と施策の実行

タイムスタディで得られたデータをもとに、高寿園は明確な4つの目標を設定しました。

1. 介護リフトの導入による身体負担の軽減
移乗介助は職員の腰痛や身体的疲労の最大の原因でした。介護リフトを全面導入することで、複数名での移乗介助をなくし、一人でも安全に介助できる体制を構築しました。

2. 見守りセンサー等ICT機器の活用
リアルタイムで入居者の状態を把握できる見守りセンサーを導入。音声入力による記録システムやスケジュール管理ツールも活用し、情報共有の漏れをなくしました。

3. 生活支援スタッフの配置
清掃や配膳など、専門性を必要としない業務を担当する生活支援スタッフを配置。介護職員が直接ケアに集中できる時間を確保しました。

4. OJT時間の確保
標準化されたケア手法を新人職員に伝えるOJT(On-the-Job Training)の時間を意識的に確保。生活支援スタッフのサポートにより、先輩職員が指導に専念できる環境を整えました。

「これらの施策は、すべてタイムスタディで得られたデータに基づいています。勘や経験だけでなく、客観的な数字をもとに優先順位をつけたことが、成功の鍵だったと思います」
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