2025.10.29
八入の雨
10月に入り雨が続いています。8月後半頃から10月にかけて降る長雨を秋雨と言いますが、10月後半に降る雨は「八入(やしお)の雨」と言って布の染める様に例えて表現されます。

「八入(やしお)の雨」とはどんな雨?
一雨(ひとあめ)ごとに木の葉を色濃く染めていく雨を「八入(やしお)の雨」といいます。「感慨も一入(ひとしお)である」とか「今年の夏の暑さは一入だった」などということがありますね。
「ひときわ」「いっそう」といった意味のこの「一入」は、布を染めるとき、染料に一回浸すことです。そして、何回も浸すことを八入(やしお)といいます。この「八」は「多いこと」を意味します。
地域などによりますが、霜降は山々や公園などで美しい紅葉(こうよう)を楽しめる時季でもあります。それまでに、何度も八入の雨が降って染められたのでしょう。
もう間もなく紅葉シーズンを迎えます。九州にも紅葉のスポットがたくさん存在します。九州では10月下旬から12月上旬が見ごろの様です。旅行会社お勧めの日帰り紅葉ツアーに上がっている人気スポットをご紹介します。
秋の耶馬渓

京都の嵐山、栃木の日光と並び日本三大紅葉名所として知られる大分県中津市の「耶馬渓(やばけい)」。
夜のライトアップが美しい〈溪石園(けいせきえん)〉をはじめ、紅葉と岩との対比が美しい「一目八景(ひとめはっけい)」や、菊池寛の小説『恩讐の彼方に』でも有名な「青の洞門(あおのどうもん)」など、個性豊かな紅葉景色が楽しめる人気スポットです。
周辺にはサイクリングロードもあり、この時期には「秋の耶馬渓サイクリング」として人気のアクティビティとなっています。レンタサイクル施設も充実しているため、手ぶらで楽しむことができますよ。その情報については、後半でご紹介します!
九年庵

国の名勝「九年庵」は、神埼市街や筑後平野、有明海を一望できる優れた景観を持つ庭園で、佐賀県にとって文化的価値の高い大切な財産です。この「九年庵」にて、例年11月15日から11月23日の9日間限定で行っていた秋の一般公開を、より多くの方に楽しんでいただけるよう、今年は11月15日(土曜日)から11月30日(日曜日)の16日間に拡大して開催します。
11月の紅葉シーズンはモミジの紅と苔の緑、そしてあたたかみのある茅葺(かやぶき)屋根とのコントラストが大変美しく、佐賀の秋の風物詩になっています。
また、山林部に広がるモミジを楽しみながら建物を上から眺めることができる山林部の新ルートを、初めて公開します。
大興善寺

養老元(717)年、行基(ぎょうき)が開山した天台宗のお寺である大興善寺(だいこうぜんじ)は、別名「つつじ寺」と呼ばれるほどのツツジの名所です。
本堂の裏山一帯の75000平方メートルのツツジ園は、見頃の4月中旬から5月初旬になると約5万本のツツジで埋め尽くされます。紅葉の名所としても有名で、四季を通じたくさんの人が訪れます。また、大興善寺は数多くの文化財を所蔵するお寺でもあります。
国の重要文化財に指定されている木造廣目天立像及び木造多聞天立像を国宝殿に安置するのをはじめ、行基の作と伝えられ、12年に1度午年にのみ開扉される本尊の木造十一面観音立像などの仏像、境内にある中世の石の五重塔などがその代表です。ご朱印(本尊十一面観音、能野神社、契山観音、薬師如来)もどうぞ。
【11月の和の暦】
立冬( りっとう)二十四節気──11月7日~21日
山茶始開( つばきはじめてひらく)第55候──11月7日~11日
地始凍 (ちはじめてこおる)第56候──11月12日~16日
金盞香 (きんせんかさく)第57候──11月17日~21日
[立冬]──11月7日~21日

「立冬」とは?-昼が短くなり、いよいよ冬の到来
暦の上では、冬の始まりの日。日脚が短くなり、木枯らし一号や、山の初冠雪が報じられることも多い時季です。
まだ秋らしい気配も残り紅葉の見頃の時季ですが、朝夕冷え込み、日中の陽射しも弱くなります。木枯らしが吹きはじめ、冬の気配が感じられるころです。
和の暦の「冬」は初冬→仲冬→晩冬と3段階で進みます。立冬と小雪の時季は「初冬」。暦の上では冬の到来です。
[初冬]──11月7日~12月6日
[時候の挨拶]
この時季によく使われる挨拶文です。
深秋の候 しんしゅうのこう
晩秋の候 ばんしゅうのこう
向寒のみぎり こうかんのみぎり
山茶始開 つばきはじめてひらく|第55候

[山茶始開]──11月7日~11日
山茶花が花開くころ
七十二候では、この日から「山茶始開(つばきはじめてひらく)」になります。
「つばき」と読みますが、ここでは山茶花(さざんか)を指します。時雨が降るなか、垣根などでひときわ鮮やかに花開く様子は目を引きます。花の少ない、殺風景な冬枯れの季節に可憐に咲く山茶花は、寺院や茶室の庭木としても好まれる花です。
[霜月の銘]
開門(かいもん)
雨音を聞きながら寒い夜更けを過ぎ、門を開けると葉が落ちているという、禅語の「聴雨寒更盡 開門落葉多」より。雨音と思っていたものは、葉が落ちる音だったという光景が、冷え込む晩秋の風情を伝えてくれる銘です。
地始凍 ちはじめてこおる|第56候

[地始凍]──11月12日~16日
大地が凍り始めるころ
七十二候では、この日から「地始凍(ちはじめてこおる)」になります。
夜間の気温が低くなり、朝には霜柱が見られるほど寒くなります。空気中の水分が氷の結晶となって霜が降り、地中の水分が凍って霜柱が立つようになって大地が凍り始めます。
11月15日は「七五三」のお参りの日。千歳飴は、江戸時代に浅草寺の境内で売り出されたのが始まりだとか。この飴を食べれば千歳まで健康で長生きできるという願いが込められているとされています。
金盞香 きんせんかさく|第57候

[金盞香]──11月17日~21日
冬を告げる花、水仙が咲くころ
七十二候では、この日から「金盞香(きんせんかさく)」になります。
「金盞」は金色の盃の意味で、冠の部分が黄色い水仙を指します。別名は「雪中花(せっちゅうか)」です。
白い花が冬を告げ、芳しい香りを放ちます。水仙の開花時期は11月から3月ごろまで。お正月の飾りにもよく使われます。
[霜月の季語]
返り花(かえりばな)
11月前後に訪れる、暖かく穏やかな小春日和。その時季に、桜、梅などが季節を間違えて花を咲かせることをいいます。「帰り花」とも書きます。また、忘れたころに咲くという意味で、「忘れ花」ともいわれます。
和暦コラム|時雨(しぐれ)

神無月ふりみ降らずみ定めなき 時雨ぞ冬のはじめなりける(和漢朗詠集)
夕日かげ群れたる鶴はさしながら 時雨の雲ぞ山めぐりする(藤原定家)
初時雨猿も小蓑を欲しげなり(松尾芭蕉)
初冬は雨の多い季節です。その思いがけない冷たさに、いよいよ冬の始まりを感じます。春時雨、秋時雨といいますが、時雨といえば初冬の季語になります。走り抜けるようにぱらぱらと降っては止むことから、片時雨、村時雨、夕時雨、小夜時雨、山めぐりなど、さまざまな表現があります。
雨に濡れて鮮やかに燃え上がる山の錦繍は、ほの暗い闇に浮かぶ金屏風のように幽玄の世界を彷彿とさせます。金屏、銀屏とともに、本来風を防ぐものであった衝立も冬の季語です。
「山より出づる北時雨、山より出づる北時雨、行方や定めなかるらん」これは謡曲『定家』の冒頭の詞章。藤原定家が百人一首を編纂したのは小倉山の「時雨亭」、また松尾芭蕉の忌日は旧暦十月十二日であることから「時雨忌」と呼ばれています。
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「八入(やしお)の雨」とはどんな雨?
一雨(ひとあめ)ごとに木の葉を色濃く染めていく雨を「八入(やしお)の雨」といいます。「感慨も一入(ひとしお)である」とか「今年の夏の暑さは一入だった」などということがありますね。
「ひときわ」「いっそう」といった意味のこの「一入」は、布を染めるとき、染料に一回浸すことです。そして、何回も浸すことを八入(やしお)といいます。この「八」は「多いこと」を意味します。
地域などによりますが、霜降は山々や公園などで美しい紅葉(こうよう)を楽しめる時季でもあります。それまでに、何度も八入の雨が降って染められたのでしょう。
もう間もなく紅葉シーズンを迎えます。九州にも紅葉のスポットがたくさん存在します。九州では10月下旬から12月上旬が見ごろの様です。旅行会社お勧めの日帰り紅葉ツアーに上がっている人気スポットをご紹介します。
秋の耶馬渓

京都の嵐山、栃木の日光と並び日本三大紅葉名所として知られる大分県中津市の「耶馬渓(やばけい)」。
夜のライトアップが美しい〈溪石園(けいせきえん)〉をはじめ、紅葉と岩との対比が美しい「一目八景(ひとめはっけい)」や、菊池寛の小説『恩讐の彼方に』でも有名な「青の洞門(あおのどうもん)」など、個性豊かな紅葉景色が楽しめる人気スポットです。
周辺にはサイクリングロードもあり、この時期には「秋の耶馬渓サイクリング」として人気のアクティビティとなっています。レンタサイクル施設も充実しているため、手ぶらで楽しむことができますよ。その情報については、後半でご紹介します!
九年庵

国の名勝「九年庵」は、神埼市街や筑後平野、有明海を一望できる優れた景観を持つ庭園で、佐賀県にとって文化的価値の高い大切な財産です。この「九年庵」にて、例年11月15日から11月23日の9日間限定で行っていた秋の一般公開を、より多くの方に楽しんでいただけるよう、今年は11月15日(土曜日)から11月30日(日曜日)の16日間に拡大して開催します。
11月の紅葉シーズンはモミジの紅と苔の緑、そしてあたたかみのある茅葺(かやぶき)屋根とのコントラストが大変美しく、佐賀の秋の風物詩になっています。
また、山林部に広がるモミジを楽しみながら建物を上から眺めることができる山林部の新ルートを、初めて公開します。
大興善寺

養老元(717)年、行基(ぎょうき)が開山した天台宗のお寺である大興善寺(だいこうぜんじ)は、別名「つつじ寺」と呼ばれるほどのツツジの名所です。
本堂の裏山一帯の75000平方メートルのツツジ園は、見頃の4月中旬から5月初旬になると約5万本のツツジで埋め尽くされます。紅葉の名所としても有名で、四季を通じたくさんの人が訪れます。また、大興善寺は数多くの文化財を所蔵するお寺でもあります。
国の重要文化財に指定されている木造廣目天立像及び木造多聞天立像を国宝殿に安置するのをはじめ、行基の作と伝えられ、12年に1度午年にのみ開扉される本尊の木造十一面観音立像などの仏像、境内にある中世の石の五重塔などがその代表です。ご朱印(本尊十一面観音、能野神社、契山観音、薬師如来)もどうぞ。
【11月の和の暦】
立冬( りっとう)二十四節気──11月7日~21日
山茶始開( つばきはじめてひらく)第55候──11月7日~11日
地始凍 (ちはじめてこおる)第56候──11月12日~16日
金盞香 (きんせんかさく)第57候──11月17日~21日
[立冬]──11月7日~21日

「立冬」とは?-昼が短くなり、いよいよ冬の到来
暦の上では、冬の始まりの日。日脚が短くなり、木枯らし一号や、山の初冠雪が報じられることも多い時季です。
まだ秋らしい気配も残り紅葉の見頃の時季ですが、朝夕冷え込み、日中の陽射しも弱くなります。木枯らしが吹きはじめ、冬の気配が感じられるころです。
和の暦の「冬」は初冬→仲冬→晩冬と3段階で進みます。立冬と小雪の時季は「初冬」。暦の上では冬の到来です。
[初冬]──11月7日~12月6日
[時候の挨拶]
この時季によく使われる挨拶文です。
深秋の候 しんしゅうのこう
晩秋の候 ばんしゅうのこう
向寒のみぎり こうかんのみぎり
山茶始開 つばきはじめてひらく|第55候

[山茶始開]──11月7日~11日
山茶花が花開くころ
七十二候では、この日から「山茶始開(つばきはじめてひらく)」になります。
「つばき」と読みますが、ここでは山茶花(さざんか)を指します。時雨が降るなか、垣根などでひときわ鮮やかに花開く様子は目を引きます。花の少ない、殺風景な冬枯れの季節に可憐に咲く山茶花は、寺院や茶室の庭木としても好まれる花です。
[霜月の銘]
開門(かいもん)
雨音を聞きながら寒い夜更けを過ぎ、門を開けると葉が落ちているという、禅語の「聴雨寒更盡 開門落葉多」より。雨音と思っていたものは、葉が落ちる音だったという光景が、冷え込む晩秋の風情を伝えてくれる銘です。
地始凍 ちはじめてこおる|第56候

[地始凍]──11月12日~16日
大地が凍り始めるころ
七十二候では、この日から「地始凍(ちはじめてこおる)」になります。
夜間の気温が低くなり、朝には霜柱が見られるほど寒くなります。空気中の水分が氷の結晶となって霜が降り、地中の水分が凍って霜柱が立つようになって大地が凍り始めます。
11月15日は「七五三」のお参りの日。千歳飴は、江戸時代に浅草寺の境内で売り出されたのが始まりだとか。この飴を食べれば千歳まで健康で長生きできるという願いが込められているとされています。
金盞香 きんせんかさく|第57候

[金盞香]──11月17日~21日
冬を告げる花、水仙が咲くころ
七十二候では、この日から「金盞香(きんせんかさく)」になります。
「金盞」は金色の盃の意味で、冠の部分が黄色い水仙を指します。別名は「雪中花(せっちゅうか)」です。
白い花が冬を告げ、芳しい香りを放ちます。水仙の開花時期は11月から3月ごろまで。お正月の飾りにもよく使われます。
[霜月の季語]
返り花(かえりばな)
11月前後に訪れる、暖かく穏やかな小春日和。その時季に、桜、梅などが季節を間違えて花を咲かせることをいいます。「帰り花」とも書きます。また、忘れたころに咲くという意味で、「忘れ花」ともいわれます。
和暦コラム|時雨(しぐれ)

神無月ふりみ降らずみ定めなき 時雨ぞ冬のはじめなりける(和漢朗詠集)
夕日かげ群れたる鶴はさしながら 時雨の雲ぞ山めぐりする(藤原定家)
初時雨猿も小蓑を欲しげなり(松尾芭蕉)
初冬は雨の多い季節です。その思いがけない冷たさに、いよいよ冬の始まりを感じます。春時雨、秋時雨といいますが、時雨といえば初冬の季語になります。走り抜けるようにぱらぱらと降っては止むことから、片時雨、村時雨、夕時雨、小夜時雨、山めぐりなど、さまざまな表現があります。
雨に濡れて鮮やかに燃え上がる山の錦繍は、ほの暗い闇に浮かぶ金屏風のように幽玄の世界を彷彿とさせます。金屏、銀屏とともに、本来風を防ぐものであった衝立も冬の季語です。
「山より出づる北時雨、山より出づる北時雨、行方や定めなかるらん」これは謡曲『定家』の冒頭の詞章。藤原定家が百人一首を編纂したのは小倉山の「時雨亭」、また松尾芭蕉の忌日は旧暦十月十二日であることから「時雨忌」と呼ばれています。

